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改正相続法

遺留分制度の改正で、複雑な 共有関係が解消される!

「遺留分」とは、故人の兄弟姉妹以外の相続人に対して留保された相続財産の割合のことで
す。

つまり、故人の子のほか、子が他界していた場合の孫などの相続人に最低限認められて
いる相続財産の割合であり、配偶者や子については法定相続分の2分の1と規定されていま
す。

たとえば、遺産を1人の相続人にすべて相続させる、という遺言がなされたとします。そ
の場合、相続できなかった他の相続人は遺留分が侵害されたことになるため、遺産を取得し
た相続人に対し、遺留分の減殺請求をして、遺留分すなわち最低限の相続財産の確保をめざ
すことになります。

この遺留分制度についても、今回、改正が行われました。

 

遺留分はすべて金銭で請求する!

遺留分制度の改正点は次の2点です。

①遺留分の権利行使により侵害額に相当する金銭債権を発生させる

従来は遺留分の権利(遺留分権)の行使により、それぞれの遺産が遺留分を侵害する限度
で当然に共有となっていました。しかし、そのような複雑な権利関係が発生しないようにす
るために、遺留分についてはすべて金銭で請求するようにしたものです。

②金銭をただちには準備できない受遺者(故人の遺贈を受ける人)または受贈者(故人から
生前贈与を受けた人)のために、受遺者等の請求によって、裁判所が金銭債務の全部また
は一部の支払いについて相当の期限を設けることができるようにする

 

これは、遺留分の侵害額の請求があった場合、請求を受けた他の相続人や遺贈によって財
産を取得した人などが、ただちに支払いできない場合でも、侵害額請求に応じやすくするた
めに一定の猶予を与える規定といえます。